PMOに必要なのは、話す力だけではなかった

PMO案件の求人を見るたびに、少し気になる言葉があります。

「コミュニケーション能力」

ほとんどの求人で書かれている、ごく普通の条件です。

以前は、人と普通に話せればいいのだろうと思っていました。

ですが案件を見続けるうちに、この言葉は思っていたよりずっと重い意味を持っていることに気付きました。

PMOで求められているのは、話が上手な人ではありません。

現場を前に進められる人なのだと思うようになりました。

今回は、PMOに必要なコミュニケーション力について、転職活動の中で感じたことを書いてみます。

目次

コミュニケーション力という言葉は広すぎる

コミュニケーション力という言葉は、かなり広い言葉です。

明るく話せること。相手に感じよく接すること。報告・連絡・相談ができること。会議で発言できること。人間関係をうまく作れること。どれもコミュニケーション力に含まれると思います。

ただ、PMOで求められるものは、それだけではない気がします。

PMOの仕事では、人と仲良くなること自体が目的ではありません。目的は、現場を前に進めることです。

そのために、必要な情報を集める。曖昧な状態を確認する。止まっている課題を見える形にする。関係者の認識をそろえる。決めるべきことを会議に乗せる。

つまりPMOに必要なコミュニケーション力は、単に話がうまいことではなく、状況を整理して前に進める力なのだと思います。

話す力より、聞く力が必要な場面もある

コミュニケーション力というと、話す力をイメージしがちです。分かりやすく説明する。会議で発言する。相手を説得する。もちろん、それも大事です。

ですがPMOの仕事では、聞く力の方が重要な場面もあるのではないかと思います。

進捗が遅れている時、いきなり責めても情報は出てきません。課題が起きている時、相手が何に困っているのかを聞かなければ、本当の問題は見えません。会議で話が噛み合っていない時、それぞれが何を前提に話しているのかを拾う必要があります。

聞くと言っても、ただ受け身で聞くだけではありません。

何が分かっていて、何が分かっていないのか。誰が何を決める必要があるのか。どこが曖昧なまま残っているのか。そういうことを意識しながら聞く。

これは思っているより難しいことだと感じています。

分からないことを確認する力

PMOに必要なコミュニケーション力として、最近大事だと思うのが、分からないことを確認する力です。

会議の中で、何となく話が進んでいる。でも自分の中では少し分かっていない。そういう場面はあると思います。

若い頃なら、分からないと言うのが恥ずかしいと感じたかもしれません。今さら聞けない。こんなことを聞いたら評価が下がるのではないか。そう考えて黙ってしまうこともあったと思います。

ですがPMOの立場では、分からないまま進める方が危ないと思うようになりました。

自分が分かっていないということは、他の誰かも分かっていない可能性があります。会議の中で曖昧なまま流れたことが、後で大きなズレになることもあります。

これは何を決める話なのか。誰が対応するのか。期限はいつなのか。次回までに何を確認するのか。

そうしたことを確認する力は、PMOにとってかなり大事なのだと思います。

相手によって、伝え方を変える必要がある

PMOはいろいろな立場の人と関わります。

PM、現場担当者、顧客、ベンダー、上位会社、別チーム。それぞれ見ているものが違います。関心のあることも違います。使う言葉も違います。

だから同じ内容を伝えるにしても、相手によって言い方を変える必要があります。

現場担当者には、具体的な作業や確認事項として伝える。PMには、判断が必要なポイントとして伝える。顧客には、状況と影響が分かるように伝える。会議では、参加者全員が同じ前提に立てるように整理する。

これを自然にできる人は、かなり強いと思います。

逆に、全員に同じ言い方で伝えてしまうと、どこかで伝わらないことがあります。PMOのコミュニケーション力は、相手に合わせて情報の形を変える力でもあるのだと思います。

強く言いすぎても、弱すぎても進まない

PMOの難しさは、権限が限定的な中で人に動いてもらうことにもあります。

進捗を確認する。課題対応をお願いする。期限を確認する。資料の提出を依頼する。こうした場面で、強く言いすぎると反発されます。

逆に弱すぎると、後回しにされることもあります。

この加減はかなり難しいです。

相手の状況を見ながら、必要なことは確認する。でも責めるようには言わない。曖昧なままにはしない。でも相手を追い詰めすぎない。

このバランスを取ることも、PMOに必要なコミュニケーション力なのだと思います。

これは単に性格が明るいとか、話が得意という話ではありません。かなり実務的な調整力です。

コミュニケーション力は、観測力に近い

最近思うのは、PMOに必要なコミュニケーション力は、観測力に近いのかもしれないということです。

相手が何を気にしているのか。会議で何が決まっていないのか。資料のどこで認識がズレているのか。誰が困っているのか。どの課題が放置されているのか。

そうしたものを観測して、言葉にして、必要な人に届ける。

これは、単なる会話力ではありません。状況を見て、意味を整理し、伝わる形に変換する力です。

この考え方は、今の自分にとってかなりしっくりきます。私はまだ、PMOに必要なコミュニケーション力を十分に持っていると言い切れるわけではありません。むしろ、転職活動をしながら、自分の課題としても残っていると感じています。

説明が長くなりすぎることがあります。自分の経験をうまく整理して話せない時もあります。相手が何を知りたいのかを、話しながら探っていることもあります。

だからこそ、コミュニケーション力を「自分の強みです」と簡単に言い切るより、これからPMOとして働くなら意識して整えていく必要がある力として見ています。

おわりに

PMOに必要なコミュニケーション力は、明るく話す力だけではありませんでした。

相手の話を聞く力。曖昧なことを確認する力。立場の違う人に合わせて伝える力。強すぎず弱すぎず依頼する力。会議や資料の中で、何が決まっていないのかを見つける力。

そうしたものが、PMOには必要なのだと思います。

転職活動を始める前は、コミュニケーション能力という言葉を、少し曖昧に見ていました。ですがPMO案件を見続ける中で、その言葉の重さが少し分かってきました。

これは自分にとって、強みでもあり、課題でもあります。

自分を必要以上に大きく見せるのではなく、どんなコミュニケーションならできるのか。どこを伸ばす必要があるのか。そこを観測しながら、次の仕事を探していきたいと思っています。


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