AIを使い始めた頃、私は少し勘違いをしていました。AIに質問すれば、転職活動の進め方も、職務経歴書の書き方も、Kindle出版の構成も、正解に近いものが返ってくると思っていたのです。
ですが、使い続けるうちに考え方が変わりました。AIは答えをくれる存在ではありません。少なくとも、人生の答えはくれません。
それでも、前には進めてくれます。
今回は、48歳で転職活動や出版を進めながら感じた、AIとの付き合い方について書いてみます。
AIは転職の正解を教えてくれない
転職活動をしていると、答えが欲しくなる場面があります。
会社員として働くべきなのか。フリーランスを目指すべきなのか。PMO案件を中心に探していいのか。介護職を辞めてIT業界へ戻る判断は正しいのか。
こうした問いをAIに投げると、たしかにいろいろな答えが返ってきます。選択肢を整理してくれます。メリットとデメリットも並べてくれます。自分では見落としていた視点を出してくれることもあります。
でも、最後の答えは返ってきません。
なぜなら、決めるのは自分だからです。AIは私の代わりに面談を受けることはできません。案件を選ぶことも、退職することも、その結果を引き受けることもできません。
そこは、どれだけAIが便利になっても、人間側に残る部分なのだと思います。
答えは出ない。でも考えは整理される
ただ、答えが出ないから役に立たないわけではありません。
むしろ、答えが出ない問題ほど、AIとの対話は役に立つと感じています。たとえば、自分の経歴をどう説明するかで悩んだ時、AIはかなり助けになりました。
IT業界の経験はある。PMO補佐や進捗管理、課題管理、資料作成の経験もある。一方で、直近は介護職をしていた。この経歴をどうつなげて説明すればいいのか。
ひとりで考えていると、どうしても弱点ばかりが目につきます。年齢、ブランク、最新技術への不安、プログラミング経験の少なさ。そうした不安に引っ張られます。
でもAIに話していると、経験を別の角度から見直せます。介護職の経験も、人との関わり方や現場対応を学んだ時間として整理できる。PMOの仕事も、単なる事務作業ではなく、進捗・課題・関係者の間をつなぐ仕事として説明できる。
AIが答えを出したわけではありません。それでも、考えるための材料を並べ直してくれました。
出版でも同じだった
Kindle出版でも同じでした。
本のタイトル、構成、説明文、表紙、価格設定。AIはたくさん案を出してくれます。ですが、どの案を採用するかは自分です。出版するかどうかを決めるのも自分です。
実際、出版作業では何度も迷いました。これで出していいのか。もっと直した方がいいのか。誰にも読まれなかったらどうするのか。
そのたびにAIとやり取りしながら、タイトルを直し、構成を見直し、説明文を整えていきました。AIが出版の正解をくれたわけではありません。ただ、止まりそうになった思考を動かし続けてくれました。
この感覚は、転職活動にも似ています。正解は分からない。それでも、次に何を確認するか、何を直すか、何を試すかは考えられる。
AIは、その「次の一歩」を作るのに向いているのだと思います。
AIは壁打ち相手であり、鏡でもある
AIを「壁打ち相手」と表現する人がいます。以前は、その意味があまり分かっていませんでした。
でも今は少し分かります。AIとの対話は、頭の中にある考えを外に出す作業に近いです。
不安も、違和感も、やりたいことも、頭の中だけにあると形がありません。ですが、それを文章にしてAIに投げると、自分が何に引っかかっているのかが見えてきます。
転職が不安なのか。年齢が不安なのか。収入が不安なのか。経歴を説明できないことが不安なのか。
AIの返答そのものより、質問を書いている時点で、自分の考えが見えてくることがあります。
最近は、AIは検索エンジンというより、鏡に近いのかもしれないと思うようになりました。質問を投げると、答えだけでなく、質問している自分自身も見えてくるからです。
AI時代に必要なのは、答えをもらう力だけではない
AIが進化すればするほど、答えらしきものは簡単に手に入るようになると思います。文章も作れる。要約もできる。企画案も出る。自己PRのたたき台も作れる。
だからこそ、人間側に残るものが大事になるのだと思います。
何を問うのか。何を選ぶのか。何を採用しないのか。どこへ向かうのか。
AI時代に必要なのは、AIから答えをもらう力だけではなく、AIとやり取りしながら自分の問いを育てる力なのかもしれません。
私はAIの専門家ではありません。ただ、48歳で転職市場へ戻ろうとしながら、AIを使って自分の経験を整理し、出版し、ブログを書き、次の働き方を考えています。
その中で感じているのは、AIは答えをくれる存在ではなく、考えることを続けさせてくれる存在だということです。
おわりに
AIは答えをくれません。
少なくとも、転職の正解も、働き方の正解も、人生の答えも、最終的には自分で選ぶしかありません。
でもAIは、前には進めてくれます。考えることを助けてくれます。整理することを助けてくれます。言葉になっていなかった不安や希望を、少しずつ見える形にしてくれます。
だから私は、今日もAIと話しています。
答えをもらうためではありません。前に進むためです。
この記事は「AI時代観測ログ」シリーズの第2話です。
前の記事では、なぜ私がAIと話す時間が増えたのかについて書いています。
次の記事では、AIは人間の仕事を奪うのかについて考えています。
この記事は
「AI時代観測ログ」
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