予定を入れたときは楽しみにしていたのに、当日になると急に外へ出たくなくなる。
行ってしまえば楽しめることも分かっている。それでも家を出る時間が近づくにつれて、「今日はもう行かなくてもいいかな」と考え始める。
こうした感覚を「外出キャンセル」と呼ぶこともある。
単純に考えれば、疲れている、気分が乗らない、家にいたい、といった理由なのだろう。ただ、外出という行動を細かく分けてみると、別の見方もできる。
もしかすると面倒なのは、外出そのものではなく、外出できる状態になるまでの準備なのかもしれない。
「外出する」までには意外と工程が多い
家から出るだけなら、玄関を開ければいい。
しかし実際には、その前にいくつもの作業がある。
服を決める。着替える。髪を整える。必要なら顔を整える。財布やスマートフォンを確認する。イヤホンやモバイルバッテリーを用意する。天気を確認する。バッグに必要なものを入れる。最後に鍵を持って靴を履く。
人によっては、この準備だけで20分、30分とかかる。
つまり「14時に出発する」という予定でも、実際には13時半頃から外出のための作業を開始しなければならない。
外出そのものが嫌というより、この準備全体を頭の中で想像した瞬間に負担を感じている可能性がある。
予定は楽しみなのに、出発だけが嫌になる
外出キャンセルを考えるときに興味深いのは、「行き先には行きたい」というケースがあることだ。
友人に会うのは楽しみ。
イベントにも行きたい。
買い物もしたい。
それでも家から出るのが面倒になる。
もし外出そのものが嫌なのであれば、目的地に着いてからも嫌なはずだ。しかし実際には、「出てしまえば平気だった」ということも多い。
だとすれば、負担が大きいのは目的地ではなく、自宅から目的地へ移行するまでのどこかなのかもしれない。
風呂キャンセルでも、風呂そのものよりドライヤーが嫌だったり、服を脱いで浴室へ向かうところが重かったりする。
外出にも同じように「キャンセル地点」があると考えると分かりやすい。
どこで外出が面倒になっているのか
たとえば服選びが負担になっている場合。
「何を着よう」と考え始め、気温を確認し、予定に合う服を考え、組み合わせを決める。この時点ですでに判断が何度も発生している。
荷物準備が負担な場合もある。
財布はあるか。鍵はどこか。充電は足りるか。雨は降らないか。必要な書類は入れたか。
それぞれは小さな確認でも、一度に重なると面倒になる。
さらに、駅まで歩くこと自体が嫌な場合もある。特に暑い日や寒い日、雨の日は、玄関を出た後の移動まで含めて外出の負担になる。
「外出したくない」という感覚を一つの問題として扱うより、
服なのか、身支度なのか、荷物なのか、玄関なのか、移動なのか
と分けたほうが対策は考えやすい。
準備を毎回ゼロから始めない
外出前の摩擦を減らす方法の一つは、毎回発生している判断を減らすことだと思う。
たとえば普段使うバッグの中に、モバイルバッテリー、充電ケーブル、ティッシュなどを入れたままにしておけば、外出のたびに準備する必要がない。
財布、鍵、イヤホンの置き場所を決めておけば、「どこに置いた?」という工程もなくなる。
服についても、よく使う組み合わせをある程度固定すれば選択肢を減らせる。
外出前に必要なことを減らしていけば、
「外出するために準備する」
という大きな作業を、
「服を着替えてバッグを持つ」
くらいまで小さくできるかもしれない。
ポイントは、急いで支度できるようにすることではなく、支度そのものを少なくすることだ。
「外に出る」までを最初の目的にする
予定に行くことを考えると、心理的な距離が長くなることもある。
家を出る。
駅まで歩く。
電車に乗る。
乗り換える。
目的地まで歩く。
こうして頭の中で全部を先に考えると、外出が大きなタスクに見える。
そこで最初の目的を「目的地へ行く」ではなく、「玄関から外へ出る」にしてしまう考え方もある。
靴を履く。
玄関を開ける。
建物の外まで出る。
そこまで来れば、次は駅へ向かえばいい。
もちろん、それだけですべて解決するわけではない。ただ、大きなタスクを最初から全部抱えるより、開始地点だけを見るほうが動きやすくなる場合はある。
外出キャンセルも「生活の摩擦」の一つ
外出したくない自分を見て、「せっかく予定を入れたのに」「自分は面倒くさがりだ」と考えることもある。
しかし、工程を分けてみると、それほど単純ではない。
外出には服選び、身支度、荷物、移動といった複数の作業が含まれている。そのどれか一つが大きな負担になれば、最終的には「外出したくない」という感覚として現れる。
風呂キャンセルと構造はよく似ている。
風呂に入りたいのに、ドライヤーを考えると嫌になる。
外出したいのに、支度を考えると嫌になる。
行動そのものではなく、その前後にある小さな工程が全体をキャンセルさせることがある。
こうしたものを、このブログでは「生活の摩擦」として見ている。
「行きたくない」と思ったら、どこが嫌なのかを見る
予定をキャンセルしたくなったとき、無理に気合を入れる前に一度考えてみる。
本当にその予定に行きたくないのか。
それとも服を選ぶのが面倒なのか。
身支度が面倒なのか。
駅まで歩くことが嫌なのか。
もし原因が分かれば、その部分だけを軽くできる可能性がある。
毎日の生活には、「やりたいのに開始できないこと」が意外と多い。
それをすべて意思や性格の問題にするのではなく、どこに小さな摩擦があるのかを観測してみる。
外出キャンセルも、その一つとして考えてみると少し違って見えてくる。
コメント